どら焼きと一升餅が大人気。
どら焼きの末廣屋喜一郎〜井の頭和菓子処 末廣屋喜一郎 2002年度三鷹市商店コンクールIT部門優秀賞受賞

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浮島(栗寄せ)

末廣屋喜一郎&伝統の和菓子文化普及委員会

2003/11/28

職人がつくった浮島

 

浮島湖の水面を漂流する小さな島。このお菓子は、タネを蒸し上げるとモコッ≠ニふくらむことから、こつぜんと現れる浮島の名前を借りたものと言われています。

お菓子の浮島は、このふわっとした生地のことをいいます。職人!喜一郎のつくる浮島は、こしあんを練り込んだ浮島生地に栗を散りばめ、「栗寄せ」とも呼ばれます。

■ 材料

・こしあん 200g ・小麦粉 15g ・上新粉 8g ・イスパタ(ベーキングパウダーで代用可)1g ・砂糖(上白糖) 50g  ・栗(甘露煮) 70g ・卵 1コ


※こしあんの代わりに白あん、栗の代わりにサツマイモや甘納豆、レーズンを入れるなど、アレンジしてお楽しみいただけます。


■ つくり方

栗の甘露煮

1. 栗の甘露煮を蜜ごと火にかけてあたため(沸騰する直前くらいまで)、ザルにあけておきます。

※ドロドロの蜜が栗から離れます

小麦粉、上新粉、イスパタ

2. 小麦粉、上新粉、イスパタをふるいにかけます。

こし餡にまぜまぜ 3. こしあんに(2)を混ぜ、あんに粘りが出るまでこねます。
お砂糖を入れて 4. ふるいにかけた砂糖を混ぜ合わせます。
まぜたらこんな感じ 5. 砂糖が混ざるとこんな感じです。
卵を入れて

6. 卵は黄身と白身に分け、黄身は(5)に落とします。

←【注】 職人は 6倍の分量で作ってます。

メレンゲ。角が立つまで。

7. 白身はツノが立つまでよく泡立ててメレンゲを作ります。
職人のアドバイス

※これ大事!硬さが出るくらいよく泡立てて!

良く混ぜましょう! 8. (6)を混ぜ合わせます。
更に混ぜて! 9. さらに(7)のメレンゲをあわせます。
メレンゲは泡をつぶさないように。 10. メレンゲは泡をつぶさないように、こねずに混ぜ合わすようにします。
栗の甘露煮をちょうど良い大きさに!

11. (1)の栗を適当な大きさに刻みます。

※お好みの大きさで。

これでタネの出来上がり 12. (10)に栗を混ぜ合わせると、タネの出来上がりです。
いよいよ蒸します

13. 型に紙を敷きます。

※職人は水分の吸い具合がちょうどいいという理由で、わら半紙を使っています。ここでは普通のコピー用紙を使用します。

※この型は工場にあったものを借りましたが、アヤが自宅で作ったときは、パウンドケーキ用のステンレス型を使いました♪

型に流して… 14. 型にタネを流し入れ、ゴムベラなどで平らに均したあと、中央を気持ち凹ませます。
職人はこんな感じで。 ※職人はこのような『樋(とい)』に流します。
蒸します。蒸し器OK

15. 余分な水分がお菓子に落ちないよう、蓋の間に布巾を挟み、約30分蒸します。

※家庭用の蒸し器でOKです。アヤは大きめの鍋の中にステンレスのザルを入れて、蒸し器にしています。

蒸すと膨らむので浮島と言うのだ

16. 蒸しあがりました!

※だいたい 1.5倍くらいに膨らみます。

少し冷ませてからきるのがコツ。

※少し冷ましてから切った方がキレイに切れます。

※表面が割れている時は、ひっくり返して表面をお菓子の底≠ノします。
職人のアドバイス

浮島の出来上がり。
☆☆☆ 出来上がり ☆☆☆

■ 職人!喜一郎への質問 & アヤの挑戦

<アヤ> 
"イスパタ"ってあまり聞きませんけど、何ですか?

<職人>
これはいわゆる『ふくらし粉』。膨張剤の一種で、重曹の化合物。蒸し物の時に使うんだよね。

<アヤ>
あまりスーパーなどでは見かけないですよね…。代わりにその重曹でもいいのでしょうか?

<職人>
んー、どうだろね。大丈夫だと思うけどねぇ…。やってみたことないけど…。

<アヤ>
じゃあ、私が家で"重曹"を使って大丈夫かどうか、やってみますね。

 

…ということで、"イスパタ"と"重曹"を両方持って帰り、家でやってみました。まずは"重曹"。

…すると…。

まるで黒糖を使ったお菓子のような色になっちゃいました!

 

・・・ナンダコレハ!?

 

あんまりビックリしたので、それだけ持って職人に見せに行きました。

 

<アヤ>
先生!大変です!なんか変なのが出来ちゃいました!これはなんでしょう???

<職人>
(黙って一口食べてみて)
味は同じだけどね、ちょっとべちゃっとしてるね。これは、重曹のせいだと思うよ。

<アヤ>
そうなんですか?ずいぶん変わっちゃうんですね!もし、重曹のせい、ってことになると、これは比べてみる必要がありそうですねぇ…。


<アヤ>
ところで、"ベーキングパウダー"っていうのはどうなんでしょう?イスパタを使うレシピを調べてみたら、代用可ってなっているのもあるようなんですが。

<職人>
あれはね、"ベーキングパウダー"っていうくらいだから、焼き物用なんだよ。

<アヤ>
フーン、そうなんですか。でも、この3つの中では一番みんな持ってそうだし、とりあえずやってみます。

その結果!?


アヤの失敗ではなかったようです。3種類の膨張剤を使用して、同じ条件で浮島を作ってみた結果、このようになりました!!

ベーキングパウダー/重曹/イスパタ
ベーキングパウダー  /  重 曹  /  イスパタ       

ベーキングパウダー
 色は問題ありませんが、キメが細かく仕上がり、食感はちょっとポソポソした感じがします。

重曹
 色も変わってしまい、食感はどちらかというと、べしゃっ…と重たいという印象。

イスパタ
 パサつかず、重たくもならず、しっとりとした感じ。やっぱりこれがいちばん美味しく感じます。

 

この3種類の膨張剤についてちょっと調べてみたところ、こんなことが分かりました。

まず、「重曹」について。正式な名称は、「炭酸水素ナトリウム」といい、ベーキングパウダーイスパタは、重曹の化合物です。

重曹を単体で使うと、やはり変色してしまう場合がある、とのこと。この重曹の短所を補いつつ、目的に合った膨らみ方をするよう、他の成分を加えたものが、ベーキングパウダーやイスパタなんです。

やはり、一般的には、蒸し物にはイスパタ焼き物にはベーキングパウダーというふうに言われているそうです。イスパタは、「和菓子用」と記載されているところもありました。

 

<アヤ>
 …ということなんだそうですよ!

<職人>
なるほどね。やっぱりそれぞれ特性があるものだからね。私らの間では、イスパタはタテに膨らませる、重曹はヨコに膨らませる、というふうに言われているんだよ。

<アヤ>
じゃぁ、お菓子によって使い分けたりするわけですね?

<職人>
ものによっては組み合わせて使ったりもするよ。例えば、うちのどら焼きの皮は、イスパタと重曹を、'1対1' の割合で使ってる。作るものによって、割合はいろいろだけれどね。

<アヤ>
どら焼きはベーキングパウダーは使わないんですか?

<職人>
うちはねぇ、ベーキングパウダーは使ってないんだよね。全部、イスパタと重曹の組み合わせ。これで大概のものは出来ちゃうんだよね。

<アヤ>
職人のこだわり』ってわけですか!?

<職人>
いや別に、こだわってるというより、昔っからそれでやってきてるからねぇ。

<アヤ>
なるほど。で、イスパタの代用品としてはどうでしょう?

<職人>
ベーキングパウダーは、こうやって3つ並べて食べてみると、やっぱり焼き物用なんだなっていう気がするけど、並べて食べ比べてみないと分からないくらいの違いだから、大丈夫だね。重曹は、せっかくのあんこの上品な色も変わっちゃうし、ちょっと重たくなっちゃうから、ベーキングパウダーの方がいいと思うよ。

 

ベーキングパウダーは、洋菓子を作る人でしたらおうちにある人が多いでしょうし、近くのスーパーにも売っていますね。イスパタは、専門店でしたら置いているそうです。私も某大手雑貨店の製菓コーナーで見かけました。

そのとき、「ベーキングパウダー(蒸し物用)」というのを見つけました。今回は試してみませんでしたが、職人!喜一郎に教えたところ、

「???」

という、何とも言えない表情をしていました。もし試した方がいらっしゃったら、どうだったか教えてくださいね。


喜一郎職人のアドバイス 〜作業の進め方〜

作業の途中で手を洗う時は、タネの目方が減らないように、なるべくゴムベラなどを使ってキレイに落としましょう。
粉をふるいにかける、卵を分ける、栗を刻むなど、下準備をしてからとりかかると、いちいち手を洗わずに進められます。メレンゲは作ってから時間が経つと、泡がつぶれて水分が出てきてしまうので注意してください。


喜一郎職人のアドバイス 〜メレンゲをつくる〜

このお菓子のコツは、とにかく白身をよく泡立てるということです。もちろん、ハンドミキサーを使ってもらって構いませんが、プラスティックのボウルだと、表面に傷があったりすると泡立ちにくいので、ステンレス製の方がいいでしょう。表面だけでなく、『ガガガガ…』と派手な音がしても、しっかり底まで当てましょう。


喜一郎職人のアドバイス 〜お菓子の見せ方〜

蒸かしあがったあと、表面はふくらんで割れてしまうことがよくあります。その場合は、表面をお菓子の底として見せるといいでしょう。私は半月型の「樋(とい)」を使いますので、蒸しあがった時の表面が底になり、わら半紙で覆われたところがお菓子の上になります。
また、紙が上手にはがれないときは、紙の上から「はけ」で薄く水をつけるときれいにはがれます。


いかがでしたか?是非みなさんもお試しいただいて感想をお聞かせくださいね。出来上がった作品(?)の写真も大歓迎です。

ご感想・作品の写真などはこちらまで。もちろん、職人への質問も受付中です。
suehiro@sueki.jp

▼職人!喜一郎の作った浮島はこちら。

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